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心の状態を知る

心や身体が疲れると、身体や行動に色々な変化が表れます。ストレスに対処するためには、ご自身の今の状態を自分で知るということが出発点です。 下のサイトで、体調のセルフチェックができます。ご自身の心や身体の状態を振り返ってみてください。
こころの耳 セルフチェック
https://kokoro.mhlw.go.jp/check/
https://kokoro.mhlw.go.jp/fatigue-check/worker.html

ストレスに対処する

では黄金の90分を質のいいものにするためにはどうすればよいでしょうか?

1.メカニズムを知る 下の図 は、ストレスから心身の不調に至る流れです。

人は、ストレス刺激があった時、それに対する評価を自動的に行ないます。この評価が 「とらえ方(認知)」
と言われるもので、これが人の気持ちを左右します。また、「ストレス反応(ストレッサー)」
に対して、私たちは何かしらの行動をとっています。これが 「対処(コーピング)」 です。
私たちは、この「とらえ方(認知)」と「対処(コーピング)」それぞれに働きかけをおこなうことで、「ストレス反応」 をやわらげることができます。

2.とらえ方(認知) ストレスがあると、人は誰でも視野がせまくなり、悲観的・否定的な考えになりがちです。そうすると、状況や対処の可能性を、正しく現実的に評価できないことがあります。
しかし、落ち着いて視野を広げて見ると、思ったよりも悪い状況でなかったり、対処可能だったりすることがあります。視野がせまくなっている時は、自分ではそのことに気づきづらいものです。
「極端な考えになっていないか?」
「よい面を見逃していないか?」
「元気な時もこう考えるか?」
「数年後の自分だったらどう言うか?」
といった自問は、視野を広げ、「とらえ方」を見直すヒントになります。第三者からの意見を聞いてみるのもよいです。

同じストレス刺激だとしても、「とらえ方(認知)」によって、その時の気分が変わると言われています。
気分が変わると、行動も変わります。「とらえ方」によって、気分や行動、状況はいかようにも変わってくるものなのです。
心身の「ストレス反応」に気づいた場合、ストレスの要因は何なのか、自分はその要因をどうとらえているのかを意識してみてください。まずは、ストレスによって視野がせまくなってしまい、いつもは見えているものが見えにくくなりやすいことを知りましょう。そうした自分に気づくことがストレス対処への第一歩となります。

3.対処(コーピング) ネガティブな感情をポジティブな感情に切り替える事。実はこれはなかなか難しいです。感情を感情で打ち消したり、感情を意志の力でコントロールすることは非常に難しいという事がわかっています。
ではどのようにネガティブな感情に対処すればよいのか?ここで取り入れて頂きたいのは"感覚“の力です。

例えば、ストレス対処法として、ヨガ、ストレッチ、適度な運動や友人と話すなどがよくあげられます。しかし、少し乱暴な言い方をすると、実はストレス対処の切り口はなんでもいいのです。花を見る、好きなものを食べる、笑う、動物に触れる、掃除をするなど、日常生活のあたりまえの行動もストレス解消には役立つという事がわかっています。
さらに、"感覚“の力を借りると、ネガティブな感情が意識から切り離されるだけでなく、その後の行動にも良い影響が起こります。
例えば、朝起きたときに「勉強したくないなぁ」と思ったとします(ネガティブな感情)。しかし、シャワーを浴びて(何気ない行動)すっきり(感覚)すると、なんとなくやる気になってくる。そんな経験はないでしょうか?
このように、普段何気なくやっている行動から生まれる"感覚“により、ネガティブな感情が切り離されるだけでなく、本来やるべき行動が引き出される。実は"感覚”に意識を向けることでこのような良い循環が生まれるのです。ヨガやストレッチでなくても行動ならば何でも対処法になります。
ポイントは、どのような行動であれ、その時に湧いてくる”感覚”に意識を向けることです。ぜひ、ストレス対処をより効果的にするコツとして取り入れてみてください。

経験をチカラに換える

1.ストレスの両面観 「ストレスがたまる」「ストレスでしんどい」「ストレスで胃が痛い」…。一般に、ストレスという言葉は悪い文脈で使用されます。できるだけ軽減し、解消しなければならない対象とみなされている「ストレス」。しかし、ストレスは悪い面だけでないという事をご存じでしょうか?

・有意義な人生に、ある程度のストレスは付きもの
「ストレスとは、自分にとって大切なものが脅かされたときに生じるものである」、「どうでもいいことに関しては、ストレスは感じないし、有意義な人生を送りたいと思ったら、ある程度のストレスは付きもの」ということが言われています。
人生を有意義なものにしたい、価値あるものにしたい、豊かにしたいと考えるからこそ、ストレスが生まれます。そんな時に、少し視点を変えて、ストレスの良い面に目を向けてみてはどうでしょうか。
『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』では、「ストレスのよい面を見つめるのは、ストレスを全面的に肯定したり、否定したりすることではありません。大変なときでも、あえてストレスのよい面に目を向ければ、人生の困難な問題に立ち向かっていけるということなのです」と書かれています。
ストレスは、全面的に悪いわけでも良いわけでもありません。良い面を見つめれば、バランスの取れた考え方ができるようになり、ストレスに対する恐怖が減ります。そして、ストレスにうまく対処できるようになり、ひいては人生としっかり向き合うことができます。

・ストレスや不安は、成長痛
「大変な仕事でも乗り超えれば成長につながる」「ストレスと思うことでも、今後の自分のためになる」「新しい経験が新たなスキルが身に着く」
ストレスを感じるたびに、不安や恐怖を感じるのは事実です。しかし、それは自身の成長を助けている反応かもしれません。何かを新しく始めるとや、環境の変化は確かにストレスフルです。しかし、『これからどんなことに挑戦しようか』と考え、自身の成長につなげるには、絶好の機会です。
「私はストレスによってどんな風に成長したいだろう?」
ストレスとは、私たちにとって「成長痛」のようなものなのかもしれません。ストレスを力に変えて成長のバネにしようと考えてみるというのはいかがでしょうか?