

がんCancer
5つの健康習慣を実践することでがんになるリスクが低くなります

1.たばこは吸わない
日本人を対象とした研究の結果から、たばこは肺がんをはじめ食道がん、膵臓がん、胃がん、大腸がん、膀胱がん、乳がんなど多くのがんに関連することが示されました。
たばこを吸う人は吸わない人に比べて、がんになるリスクが約1.5倍高まることもわかっています。
2.他人のたばこの煙を避ける
受動喫煙でも肺がん(特に腺がんタイプ)や乳がんのリスクは高くなります。たばこは吸う本人のみならず、周囲の人の健康も損ねます。
禁煙はがん予防の、大きく、確実な一歩。
吸っている人は禁煙し、吸わない人はたばこの煙をなるべく避けて生活しましょう。
禁煙の方法~ひとりでやろうとせず専門医に相談~
まずは喫煙のリスクを理解することから始めましょう。
禁煙外来など専門家と共に取り組むことも成功への近道です。医療保険で受診できる場合もありますし、現在では、禁煙補助薬を使った禁煙プログラムなどもあります。地域の医療機関を探し、ぜひ禁煙に取り組んでみましょう。
多量の飲酒でがんのリスクが高くなることが、日本人男性を対象とした研究でわかりました。
1日あたりの平均アルコール摂取量が、純エタノール量で23g未満の人に比べ、46g以上の場合で40%程度、69g以上で60%程度、がんになるリスクが高くなります。
特に飲酒は食道がん、大腸がんと強い関連があり、女性では男性ほどはっきりしないものの、乳がんのリスクが高くなることが示されています。女性のほうが男性よりも体質的に飲酒の影響を受けやすく、より少ない量でがんになるリスクが高くなるという報告もあります。
飲む場合は純エタノール量換算で1日あたり約23g程度までとし、飲まない人、飲めない人は無理に飲まないようにしましょう。
これまでの研究から、「塩分のとりすぎ」「野菜や果物をとらない」「熱すぎる飲み物や食べ物をとること」が、がんの原因になるということが明らかになっています。このことから、塩分を抑え、野菜と果物を食べ、熱い飲み物や食べ物は少し冷ましてからとるという3つのポイントを守ることで、日本人に多い胃がんのリスクや、食道がん、食道炎のリスクが低くなります。
1.減塩する
調査から、食塩摂取量の多い男性のグループでは胃がんのリスクが高いことがわかっています。また、女性は男性ほどはっきりした関連はみられないものの、いくら、塩辛などの塩分濃度の高い食べ物をとる人は男女ともに胃がんのリスクが高いという結果も報告されています。
塩分を抑えること、すなわち減塩は、胃がんの予防のみならず、高血圧、循環器疾患のリスクの低下にもつながります。
食塩摂取量の目安
日本人の食事摂取基準(厚生労働省策定「日本人の食事摂取基準2015年版」)では、1日あたりの食塩摂取量を男性は8.0g未満、女性は7.0g未満にすることを推奨しています。塩蔵食品、食塩の摂取は最小限にするよう心がけましょう。
2.野菜と果物をとる
野菜と果物の摂取が少ないグループでは、がんのリスクが高いことが示されています。しかし、野菜や果物を多くとればリスクが低下するかどうかという点に関しては明らかではありません。
特に、食道がん・胃がん・肺がんについては、野菜と果物をとることで、がんのリスクが低くなることが期待されますが、いずれのがんも喫煙との関連がとても強いため、明確な結論は出ていません。また、食道がんは飲酒との関連が強いことがわかっています。これらのことから、禁煙と節酒を心がけることがまず重要となりますが、野菜と果物をとることは、脳卒中や心筋梗塞をはじめとする生活習慣病の予防にもつながるので、できるだけ毎日意識的にとるようにしましょう。
厚生労働省策定「健康日本21」では、1日あたり野菜を350gとることを目標としています。果物もあわせた目安としては、野菜を小鉢で5皿分と果物1皿分を毎日食べる心がけで、400g程度になります。
3.熱い飲み物や食べ物は冷ましてから 飲み物や食べ物を熱いままとると、食道がんと食道炎のリスクが高くなるという報告が数多くあります。飲み物や食べ物が熱い場合は、少し冷まし、口の中や食道の粘膜を傷つけないようにしましょう。
仕事や運動などで、身体活動量が高い人ほど、がん全体の発生リスクが低くなるという報告があります。
身体活動量が高い人では、がんだけでなく、心疾患のリスクも低くなることから、死亡全体として考えた場合のリスクも低くなります。普段の生活の中で、可能なかぎり身体を動かす時間を増やしていくことが、健康につながると考えられます。
1.活発な身体活動によりがんになるリスクは低下します
国立がん研究センターの研究報告(によると、男女とも、身体活動量が高い人ほど、何らかのがんになるリスクが低下していました。特に、高齢者や、休日などにスポーツや運動をする機会が多い人では、よりはっきりとリスクの低下がみられました。
がんの部位別では、男性では、結腸がん、肝がん、膵がん、女性では胃がんにおいて、身体活動量が高い人ほど、リスクが低下しました。
2.推奨される身体活動量
厚生労働省は、「健康づくりのための身体活動基準2013」の中で、18歳から64歳の人の身体活動について、“歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を毎日60分行うこと”、それに加え、“息がはずみ、汗をかく程度の運動を毎週60分程度行うこと”を推奨しています。
同様に、65歳以上の高齢者については、“強度を問わず、身体活動を毎日40分行うこと”を推奨しています。また、すべての世代に共通で、“現在の身体活動量を少しでも増やすこと”、“運動習慣をもつようにすること”が推奨されています。
これまでの研究から、男性の場合、肥満度の指標であるBMI(※)値21.0~26.9でがんのリスクが低く、女性は21.0~24.9で死亡のリスクが低いことがわかっています。
※ BMI:Body Mass Index 肥満度を表す指標です。値が高くなるほど、肥満度が高いことを表します。
BMI値=(体重kg)/(身長m)2
1.太りすぎ痩せすぎに注意
中高年の日本人を対象に行われた研究報告をまとめ、がんによる死亡のリスクと、総死亡(すべての原因による死亡)のリスクをみたとき、男女とも、がんを含むすべての原因による死亡リスクは、太りすぎでも痩せすぎでも高くなることがわかっています。
がんの死亡リスクに関しては、男性では肥満よりも痩せている人のほうが高くなりました。ただし、たばこを吸わない場合には、痩せていてもがんの死亡リスクは高くならないことが報告されています。
女性においては、がんによる死亡リスクはBMI値30.0~39.9(肥満)
で25%高くなりました。特に閉経後は肥満が乳がんのリスクになることが報告されていますので、太りすぎに注意しましょう。
健康全体のことを考えると、男性はBMI値21~27、女性は21~25の範囲になるように体重を管理するのがよいです。
がんは、早くみつけ、早く治療すれば、確実に治すことができます。しかし、初期の段階では、自覚症状がありません。そのために、がん検診を受けなければ、みつけることはできません。
なお、特定健康診査(メタボ健診)や健康診断は、がんをみつけるための検査ではありません。
がんをみつけるためには、「がん検診」を受ける必要があります。